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[エッセイ] いちごチョコレートの甘い思い出。

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ちょっと高めのチョコレート屋さんで
いちごのチョコレートを見つけた。

いちごのチョコレートは
あの頃を思い出す、私にとって特別なものだ。

出会ってすぐの寒い冬の日のこと。
「ごめん、煙草吸ってもいい?」と、
彼は煙草とともにコンビニでよく売っている
いちごのチョコレートをポケットから出してきた。
クールな顔してかわいいな、
と思ったのを今でも覚えている。

煙草の火を消しながら、「どうぞ」と私にもひとつくれた。
ピンク色の包み紙が、全く似合わない人だなと思ったけれど、
そんな違和感に、とてつもなくドキドキした。
ちょっとした気づかいとか、優しさにくらくらしていた毎日だった。

あれから時が経った今でも、
くしゃくしゃのレシートまで入っているポケットの中から
いちごのチョコレートをくれるときがある。
けれど、ときめくことはなくって
雑な返事をしながら、チョコレートをもらうことが多くなった。

あの頃にはなかった、彼との特別な空気感に心地よさを感じつつ、
ほんの少しだけ、寂しくなってしまうことがある。

たまにはコンビニではない、いちごのチョコレートを買って帰ろうかな。
かわいい赤い箱のラッピングで特別感とか出したりなんかして。

いちごのチョコレートがあまりにも似合っているもんだから、
あの頃よりもっと好きになりそう、なんて思ってしまった。

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